さわり読み

はじめに　〈どんなことにもくよくよするな！〉

　 『小さいことにくよくよするな！』。 これは、心理学者で臨床セラピスト、ドクター・リチャード・カールソンが書いた本の題名である。 原題は 「Don't Sweat The Small Stuff 」。 全米で五百万部のベストセラーになり、日本でもかなり売れているらしい。 副題は 「…And It's All Small Stuff」、すなわち 「しょせん、すべては小さなこと」 である。

　 書店で山積みにされ、題名に引かれたこともあって、一冊買って読んでみた。 簡単な考え方の切り替えによって、ネガティブに思われる問題をポジティブに考え直せる。 これを身近な具体例によってわかり易く書いている。

　 「なんだ、当たり前のことじゃないか」 というのが、ほとんどの人の読後感ではないか。 特に真新しいハウツー (手法) が書かれているわけではない。 他の類似のハウツー本と同様に、実用的ではあるが、何か物足りない。 問題の決定的な解決が示されていないからだ。

　 その後、すでに数百万部売れているという乙武洋匡さんの書いた 『五体不満足』 を読んだ。 涙が出るほど感動した。 先天性四肢切断という考えられないような障害を乗り越えてきた乙武さんは底抜けに明るい。 彼の生きざまに心から感動しない人は一人もいないであろう。

　 でも、「これは天性のノー天気・乙武さんだからこそできることだ。 我々悩み多き凡人にはとても真似できない」 と思う人は多いのではないか。

　 ところで、永遠のベストセラーといわれる 「ザ・バイブル」 すなわち 「聖書」 は、毎年どのくらい出版されているのだろうか。 最近ではかたく見積もっても、分冊を含めてなんと 「年間五億冊」 は出版されている。 世界中のベストセラーをはるかにしのぐ超々ベストセラーである。 出版部数から見ても、まさに 「聖書」 は真の意味での 「グローバル・スタンダード」 なのだ。 しかも一回読んで終わりという本ではない。 毎日くり返し読み、一生かけて読み続ける本である。 聖書ほど世界の人々に影響を与えている本はない。

　 なぜ聖書はこれほどまでに多くの人々に読まれるのであろうか。
　 私も聖書の愛読者の一人であるが、いかなる人の書いた本を読んでみても、聖書にまさるものはない。 それは聖書の中にのみ、「唯一の道、不変の真理、永遠の命」 があるからである。 そこにすべての人の人生の決定的な解決があるからである。

　 聖書には、繰り返し、繰り返し、「どんなことにもくよくよするな！」 「Don't worry about anything !」 と書かれている。 「小さいことにも大きいことにもくよくよするな！」 ということである。 聖書こそ、すべての人のあらゆる問題を解決する 「ザ・バイブル」 である。 聖書の中には、人生のどんな問題をも解決していく、たくさんの突破口 (ブレークスルー) が隠されている。

　 私は弁護士として国際的分野におけるさまざまな法律問題に取り組んできた。 また日々聖書を読んで聖書からすばらしい恵みを得てきた。 この経験をふまえて、本書において 「問題解決への二十二の突破口」 として 「どんなことにもくよくよしない秘訣」 について具体的に語ってみたい。