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ボランティア100年やってます

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ボランティア100年やってます

―救世軍もつらいよ―

救世軍ってどんな組織?なぜそこまでやるの?社会鍋−救世軍は米国慈善組織の中で最も効率の良い…!? 廃娼運動−暴力団に襲われて死者まで…!? そのパワーは、どこから? 社会鍋100年調査隊が、そのなぞに迫ります。

並製B5判/230頁 編集:社会鍋100年調査隊
定価(本体1,500円+税)
ISBN978-4-903748-33-7 C0036  Y1500E




はじめに ― 救世軍、そのパワーはどこから? ―

日本では、1995(平成7年)年の阪神・淡路大震災が「ボランティア元年」と言われています。しかしなんと100年以上ボランティアを続けていた団体があったことを知りました。それが救世軍。  
その救世軍との出会いは銀座での「社会鍋」募金でした。  
まず出てきたのが、「なぜ宗教団体が?」という疑問です。「ホームレスの救済なんか国がやっているのに」、「きっと自分たちの資金稼ぎの手段だろうな。赤い羽根だってあるのに」と。  
その後「フォーブス」という米国の経営雑誌で、ピーター・ドラッカー(組織研究に関する世界的権威)の10年ほど前の発言を見つけました。  
「救世軍は60万以上の慈善組織のある米国の中で、どこも近づけないほどきわだって効率のよい組織だ」「そこでは最も低いコストで、最も高い実行効率を示している」(1997年8月11日号)とありました。  
なんと60万!、その中で一番低いコストだって? それから救世軍に興味を持ちました。
その後知り合った女性が何気なく言いました。「学生時代だけれど、広島の飲み屋街に募金に行ったのよ。救世軍の制服を着て」。  
広島って、あのやくざ戦争の? キャバレーに女子大生が? しかもそれって営業妨害じゃないの? それを何気なく?  
ホームレスにカレーを配りに行った人から聞きました。「『寒いでしょう』と言ったらいきなり怒鳴られてね。『テメーらにこの寒さが分かるか!』 って。たしかにそうだ、と思ったね。で、『今晩、ダンボール小屋に泊めてくれ』って言いました。臭かったけどね。相手は『いやそこまでは……』と戸惑ってたけど。  
なんなんだこの人達は! 普通の生活をしながらこんなことを何気なくやってしまうなんて。  
「ボランティア」とか「奉仕」なんていう枠を超えてしまっているのでは?  その後、「廃娼運動」の歴史などを読んで、100年以上前の、娼婦の救済のために死者まで出した救世軍の命がけのボランティアを知りました。  
知れば知るほど、救世軍ってどんな組織なんだろう? なぜそこまで? という疑問が大きくなってきました。  
そんな疑問から人の伝をたどって大勢の関係者にインタビューをさせてもらいました。あまり自慢や苦労話をしない人々から少しずつ聞き出してその一部をまとめたのが本書です。  
このようにあくまで外から見た救世軍ストーリーですし、救世軍のチェックを受けたものでもないから、多少の誤解や聞き違いがあるかもしれません。  
しかし大筋では救世軍の活動のなぞや、そのエネルギーの源を解明できていると思います。  
もし誤った記述があるとすれば、その責任は取材した我々じゃなくって……神様かな?  
「社会鍋100年調査隊」

あとがき より


この企画を開始してから、2年半も経過してしまいました。  
その間に、多くの方々のお話を感動しながら聞かせていただきました。ご多忙の中で時間をお作りいただき感謝いたします。  
生活の片手間にではなく、奉仕に人生をかけてしまう士官(牧師さん)の決意は驚きでした。  
他方では、企業で多忙な管理職の地位にいながら、5時の退社と同時に奉仕に駆けつける方々の生活にも驚かされました。  
しかも戦前だけでなく戦後でさえも暴力団に襲われたり、長時間トイレを我慢しながら寒風の中で社会鍋募金に立ち続けたり、悪臭に耐えるために口からだけの呼吸を練習したり。  
きれいごとでは済まない、「奉仕」の姿とその厳しさの一端を知りました。  
共通するのは、「心は神に、手は人に」という精神のようです。  
お話は多岐にわたりましたが、中には社会に公表していいのだろうか、といった内容も含まれていました。そこで皆様を仮名とさせていただくことにしました。  
昨年が、ちょうど「社会鍋100年」という記念の年だったそうです。そこで今回のタイトル「ボランティア100年やってます」が決まりました。  
一般にボランティアのストーリーとなると暗い話が多くなりがちです。本書ではその暗い部分を愉快なイラストでカバーした、明るく活気にあふれたものになっている、と自負しています。イラストを担当していただいた太田多門さんに感謝いたします。  
また用途もほとんど詮索せずに、貴重な資料である多くの写真をお貸しいただいた救世軍本営に感謝いたします。  
平成22(2010)年1月 社会鍋100年調査隊

目次

ボランティア100年やってます
―救世軍もつらいよ―

はじめに ―救世軍、そのパワーはどこから?―     7

Salvation1

仕える救世軍
街頭給食活動とホームレス救済    9

ホームレスの人達と    10
楽しくも、真剣勝負のいのちがけ    15
救世軍を食い物にしていたはずが    20
相手の心と闘う    27
偏見とホームレス事情    31
ホームレスの人々とボランティア    35
ホームレスの人々とともに    41
今晩一緒に寝かせてくれ!    50
ホームレスからの1円募金    58

Salvation2
支える救世軍
アルコール依存症の回復支援とバザー    63

アルコール依存症回復支援とバザー    64
お酒を止めたいのか、止めたくないのか    71
アルコール依存症の人々と    77
アルコール依存症の経験から    82
アルコール依存症から回復    88
人のために生きたい    96

Salvation3
集める救世軍
社会鍋と困窮者・貧困家庭年末慰問運動    103

座談会 社会鍋はこう使われている    104
救世軍との出会い    119
救世軍Q&A    125
救世軍の歴史    130

Salvation4
守る救世軍
社会福祉施設の設立とよるべなき人々の保護    131

明治の廃娼運動と山室機恵子    132
山室軍平の時代から    138
救世軍と女性廃娼運動    142
戦後の女性保護    145
戦後からオリンピックまで    150
朝光寮での奉仕を踏まえて    155
婦人ホーム利用者の今昔    159
異性間の問題にも気を配りつつ    164
婦人達の心の成長のために    169
退所後の人との関わり    173
神に期待されて生きた人生    176
老人福祉施設運営の前線に立って    182
傷ついた子ども達とともに    189

Salvation5
助ける救世軍
地域社会での必要に応じて    195

アメリカ人もホームレス    196
戦後の竪穴住居    201
野戦でチンピラに囲まれる    207
ホームレス救済活動、今昔    212

参考文献    224
あとがき    227