戦場でイエス・キリストと出会った夫は、このキリストを知れば知るほど自分が何者なのかを知り、今度は自分を知れば知るほどキリストを知るようになったそうです。そしてこのキリストの「犠牲と時間」という愛によって毎日のように新しくされ、守られ生かされている自分がいる、と言います。
はじめに
イランに生まれたときから「神」という言葉を耳にし、家族の中でも学校でも、友だちや社会の中でも誰もがこの言葉を知っている、というのが夫の生まれ育った環境でした。それなのに、「神」という言葉は、夫にとっては一番理解できなかった言葉でもあります。そして宗教でさえも彼にわからせてはくれませんでした。そして夫は「神はいない」という結論に達したのです。
戦場でイエス・キリストと出会った夫は、このキリストを知れば知るほど自分が何者なのかを知り、今度は自分を知れば知るほどキリストを知るようになったそうです。そしてこのキリストの「犠牲と時間」という愛によって毎日のように新しくされ、守られ生かされている自分がいる、と言います。
数年前から本の出版を願い、私に協力してほしいと度々訴えていた夫ですが、まったく私の範疇ではないと思い込み聞き流しておりました。しかし、結婚当初からずっと夫の話を聞いてきた私が書いたらいい、と愛する仲間や尊敬する中野雄一郎師(JTJ宣教神学校国際学長)が愛をもって勧めて下さったこと、また夫のしつこい情熱?により、今回の出版が現実のものとなりました。
日本全国を廻りたいという夢を持つ夫は、自転車で全国縦断する話が持ち上がったこともありました。この度、この本を通して皆様とお会いできることをとても喜んでおります。
夫の人生が、私たちがどんな境遇にいようとも聖書の神イエス・キリストを信じることにより、人生が変わることを教えてくれるものであるよう心から願い、お祈りいたします。
二〇〇九年七月 レジャイアン真澄
推薦文
JTJ宣教神学校が、東京は高田馬場駅の近くにあったころのことでした。説教総合学の授業が始まる十分ほどまえ、ふと二階の事務所の窓から外の通りに目をやると、ビルの立て看板の影に隠れて、一人の学生が原稿を片手に、一生懸命に説教演習のための練習をしているではありませんか。ゼスチャーをまじえて、真剣に取り組み続けるその学生をしばらく見おろしながら、ぼくは思いました。
「この学生は見込があるぞ。必ず将来、優れた説教者になる!」と。
その学生こそ、アリ・レジャイアン先生の十四年ほど前の姿でした。
その後、時を見て、ぼくはアリ・レジャイアン先生を玉川学園高等部の説教者として推薦しました。果たせるかな、先生は、あらゆる優れた講師たちのなかで、もっとも生徒の心をつかみ、生徒から人気の高い説教者として、連続して何年も説教の依頼を受けて来たのでした。
時機を得て、不思議なことをなさる父なる神さまの導きで、牧師の娘・真澄さんと結婚し、永住権も与えられ、一人、また一人と、キリスト信仰を告白する人たちを確実に起こしつつ、実りのある働きを続けてこられました。
ふつうの人間の二倍、三倍にも凝縮された、まさに波瀾万丈の半生が、真澄さんの歯切れのいい文章に乗って、まとめられました。
多くの人の目に留まって、救い主イエス・キリストさまに栄光が帰されることを期待しています。
JTJ宣教神学校 学長 岸義紘
目次
はじめに 2
推薦文 4
■出会いのとき 9
■アリの誕生 12
■イラン革命の始まりと路上生活の始まり 15
■国の変化と生活の変化 18
■マスクコレクション 23
■戦場で見た新しい世界 25
■愛は時間と犠牲 31
■人は神に VS 神が人に 33
■サムライの国、日本へ 35
■サムライがいない、ジャッキー・チェンがいない 37
■クモの卵とヨーグルトと梅干し 38
■決意 41
■ビザの壁その1 42
■ビザの壁その2 45
■日本人から受けた愛 47
■新しい風 48
■神学校 50
■結婚 52
■伝道開始 57
■ピンチはチャンスに 58
■悔い改めの手紙 59
■大先輩のK牧師 61
■もう一人のK牧師 62
■超教派の集会 64
■母親をゆるす 66
■母親の死 70
■娘の誕生 72
■東京で伝道開始 74
■アリから学んだあれこれ 78